地理教育研究部会 2021~2023年活動報告

1.世話人氏名:

射手矢 武(清風南海中学校・高等学校),金田啓珠(山形県立東桜学館中学校・高等学校),河本大地(世話人代表・奈良教育大学),小橋拓司(元・兵庫県立加古川東高等学校,期間中に逝去),阪上弘彬(千葉大学),佐藤浩樹(神戸女子大学),須原洋次(龍谷大学),西岡尚也(大阪商業大学)

2.2年間の行事実績

・第52回地理教育研究部会(2022年人文地理学会大会の部会アワー,開催日:2021年11月20日(日))

テーマ:「国際理解」「国際協力」と地理教育

会場:京都市の佛教大学紫野キャンパス

ファシリテーター:西岡尚也(大阪商業大学)

コメンテーター及び司会:河本大地(奈良教育大学)

内容:

わが国における国際理解の教育の歴史―その関心地域と目標の変遷をたどる― 西岡尚也(大阪商業大学)

ワークショップ

・・・参加者間で,地理教育における「国際理解」「国際協力」分野の教材や手法など「小中高の現場で役立つ工夫」「各自の実践」「各自のネタ」を持ち寄り,グループ協議等をつうじて意見交換や交流を実施。

(参加者数20名)

・第53回地理教育研究部会(地理教育研修会,開催日:2023年2月7日(火))

テーマ: 「地図はこうすれば楽しい!~『地理総合』で地理院地図を使ってみよう~」

開催形式: オンライン(Zoom)

共催: みんなで地理プラーザ!(地理好きの社会人・学生のグループ)

内容:

趣旨説明: 河本大地(奈良教育大)

ワークショップ: プレゼンターは「みんなで地理プラーザ!」の植 遥一朗(インフラ企業勤務)・小林 護(測量会社勤務)・重永 瞬(京都大・院) ・鹿野健人(地図会社勤務)

 ・・・地図を使ったクイズやトークを交えて,楽しみながら地理を学ぶ方法を紹介。

質疑応答

(申込者数90名,最大同時接続数70名)

・第54回地理教育研究部会(開催日:2023年8月6日(日))

テーマ:「地理総合」必修化の現状と課題

共催:兵庫地理学協会(2023年度夏季大会として実施)

会場:UNITY(大学共同利用施設)セミナー室2(神戸市西区学園西町1丁目1 ユニバープラザ2F)

内容:

地理総合の現状と課題 解題(藤田裕嗣,兵庫地理学協会会長)

研究発表① 地理総合における世界各地の生活文化を通した国際理解教育の実践―A社教科書の「イスラームを中心とした生活文化」における女性の着衣の違い(差異)から考える― 久保哲成(兵庫県立柏原高等学校)

研究発表② 新課程「地理総合」の現状と課題―修士課程でイギリス中世議会史に取り組んできた兵庫県立高校地歴科教員による「地理総合」実践から― 合田和史(兵庫県立星陵高等学校)

コメント 碓井照子(奈良大学・名誉)

地理総合ワークショップ ファシリテーター 河本大地(奈良教育大学)(当日は事情により秦洋二(流通科学大学)が代行)

・・・会場の参加者で小グループに分かれての討論,情報交換

(参加者数29名)

・第55回地理教育研究部会(開催日: 2023年10月21日(土)・22日(日))

共催: 全国地理教育学会(同学会の第17回大会を共催)

大会テーマ: 地理教育・社会科教育と地政学及び政治的内容

会場: 大阪商業大学

内容: 巡検,一般研究発表,シンポジウム等

  ・・・本報告執筆後の開催となるため,詳細は省略する。

3.活動成果の概要と今後の展望

(1) 活動の成果概要

 地理教育研究部会は,9期目の活動を終えた。本研究部会は,本学会の地理教育の研究および振興への取り組みを牽引し,活性化させていくための組織として2005年11月に設置され,これまで16年間にわたり活動が進められてきた。

今期は,高等学校における必履修科目「地理総合」設置など地理教育界に大きなインパクトがもたらされた。第52回および第54回の部会は,これに対応した内容とした。

また,コロナ禍の長期化による影響を強く受けた。しかし,コロナ禍をマイナスにとらえるばかりではなく,積極的に他団体との共催の形をとり,これまであまり地理教育と銘打った場への参加がなかった人々を取り込んだ形で多数の参加を得ることができた。これにはオンライン開催も功を奏した。特に,地理教育研修会として実施した第53回地理教育研究部会は,オンライン開催ならではの内容とし,他の地理学・地理教育関連の学会等ではあまり取り上げられてこなかったテーマおよび手法で地理教育の課題と可能性を深く追究することができた。ただし,エクスカーション(巡検)の実施がなかった点は反省事項である。

さらに,地理教育関連団体が共同で毎月発行している「地理教育フォーラム」へのイベント案内等の記事投稿や,部会ウェブサイトおよび部会Facebookページによる情報発信に努めた。

(2) 今後の展望

 状況は前回報告時と大きくは変わっていない。2019年の部会更新時には,課題として,会員数増への取り組みが挙げられていた。また,防災,グローバル,ESDやSDGs,GISなど「地理総合」に求められている内容の授業実践上の現実的な課題や,地理教育の専門性を十分に意識した教育実践,それに問いの設定や内容と方法,学習過程の在り方等の授業研究も挙げられていた。さらに,大学における教員養成の在り方も取り上げられていた。

 新しい学習指導要領が全面実施され,かつコロナ禍が社会を大きく変容させた今,これらの課題に取り組む環境は様変わりしている。本研究部会としては,関西を基盤とした全国学会という本学会の強みを生かした活動の展開を図っていきたい。具体的には,関西でのエクスカーション(巡検)等と,全国から幅広く参加してもらえるオンライン利用とを組み合わせた研究集会等の開催を積極的に行いたい。そのために,部会世話人には関西以外のメンバーにも入ってもらい,また男性の世話人ばかりであったことの反省から女性メンバーを増やしたいと考え,動いている。本学会には若手の地理教育研究者が少ない状況であるが,この点も改善していきたい。

 また,他の地理学・地理教育関係の学会等の動向を見つつ,本研究部会ならではの独自性のあるテーマによる集会等の場をもちたい。その際,なるべく他団体と共催等の形をとり,地理教育に関心をもつ人々を増やし,つなげる役割を担いたいと考えている。

(文責 河本大地)

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